Q.私の父は,昭和30年に設立された合資会社Aの代表社員です。現在,会社の登記には,無限責任社員として父1名が,有限責任社員として母と叔父が登記されています。しかし,母は平成15年にすでに死亡しています。母が死亡した際,預貯金や不動産等の名義変更は行いましたが,合資会社Aについては母の出資持分を相続して終了と思い,社員の変更登記は放置していました。代表社員である父も高齢のため,今後の事業承継も考えて今のうちに会社の登記をきちんとしておきたいのですが,母についてはどのような登記をすればよいでしょうか?

2016年9月 6日

A.合資会社の有限責任社員が死亡したのが会社法施行(平成18年5月1日)より前である場合には,社員の変更登記が必要です。

 合資会社の場合,社員は出資者であり,社員の住所・氏名等は登記事項となります。株式会社の場合,出資者である株主については登記事項ではないため,株主の相続について登記が不要である点と異なりますので注意が必要です。
 会社法施行(平成18年5月1日)前の旧商法下では,合資会社の有限責任社員が死亡したときは,定款に相続入社の定めがなくても,その相続人全員は当然に有限責任社員として入社すると定められていました(旧商法161条1項)。
 お母様の相続人がお父様とご相談者様の2名とのことですので,お母様が亡くなられたのが会社法施行前の平成15年である本件の場合には,お母様の死亡による退社の登記と,相続人であるご相談者様が有限責任社員として加入する登記が必要になります(もう一人の相続人であるお父様は,既に無限責任社員の地位を有していますので,持分だけが増加する形になります。)。
 なお,会社法施行後に社員が死亡した場合には,死亡した社員については必ず退社の登記が必要ですが,相続人については,定款に相続人が死亡社員の持分を相続する旨の定めがある場合に限り,相続人が社員として加入する登記が必要となります(会社法607条1項3号,同608条)。
 株式会社と異なり,持分会社の役員には任期がないため,会社の登記を定期的に見直す機会がなく,必要な登記を怠ったまま長年放置してしまう会社も少なくありません。しかし,本件のような変更登記を放置してしまうと,相続人にさらに相続が発生したり,関係者全員の協力を得て登記を行うことが困難となる可能性があります。
 古くからある持分会社の事業承継をお考えの際には,まず,会社の登記をきちんと確認されることをお勧めいたします。

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