Q.昨年父が亡くなり,相続人は母A,長男B,次男である私Cの3名です。父の遺産は預貯金と不動産ですが,不動産については遺産分割協議が完了しており,Bが取得して登記もしています。この度,預貯金について遺産分割協議をしようとしたところ,母Aが「不動産はBが取得したのだから,預貯金については少しでも多くCに相続してもらいたい。私の取り分をCにあげたい。」と言い,Bは「預貯金については,法定相続分を取得できればいい」と言っています。どうすれば皆の希望を実現することができますか。

2016年9月28日

A. 今回のご相談の場合,相続人3名の法定相続分は,Aさんが2分の1,Bさんが4分のCさんが4分の1ですので,Aさんは,未分割の預貯金全体に対するAさんの相続分(「2分の1」という割合的な持分)をCさんに譲渡することで,Cさんの相続分を4分の3とすることができます。なお,Bさんの法定相続分は4分の1のままですので,皆様の希望を実現することができます。

 遺産の全部又は一部が未だ分割されていない時点では,各共同相続人は,他の共同相続人に対し,未分割の個々の遺産について具体的な権利を主張することはできませんが,未分割遺産全体について自己の相続分の割合に応じた持分的な権利を主張することができます(東京地裁昭和62年10月26日)。したがって,今回のように,遺産のうち不動産については分割が完了しているが預貯金については未だ分割されていない場合,Aさんは,未分割の預貯金全体に対するAさんの相続分(「2分の1」という割合的な持分)をCさんに譲渡することができます。
 共同相続人間で相続分の譲渡がされたときは、積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分が譲受人に移転し、譲受人は従前から有していた相続分と新たに取得した相続分とを合計した相続分を有する者として遺産分割に加わることとなり、分割が実行されれば、その結果に従って相続開始の時にさかのぼって被相続人からの直接的な権利移転が生ずることになります(最判平成13年7月10日)。
 したがって,Aさんが未分割の預貯金全体に対する相続分をCさんに譲渡した場合,Cさんの預貯金全体に対する相続分は,4分の1(従前から有していた相続分)+2分の1(新たに取得した相続分)=4分の3となります。なお,相続分すべてを譲渡したAさんは,預貯金の遺産分割協議に参加することはできません。

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