遺留分 |業務内容|弁護士法人しょうぶ法律事務所 遺留分 |業務内容|弁護士法人しょうぶ法律事務所

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遺留分

遺留分とは,兄弟姉妹以外の相続人のために,相続に際して法律上取得することが保障されている遺産の一定の割合のことをいいます(民法1028条)。 遺留分制度の歴史は古く,何人も自己の財産を自由に処分できなければならないという思想と,財産はできるだけ家族の中に留めておかなければならないという思想との妥協の上に成立したと言われています。

遺留分を侵害した贈与や遺贈などの無償の処分は,法律上当然に無効となるわけではありません。しかし,遺留分を侵害された遺留分権利者が減殺請求を行った場合には,贈与や遺贈などの無償の処分はその遺留分を侵害する限度で効力を失うことになります(民法1031条)。例えば,遺留分を侵害された者が,贈与または遺贈を受けた者に対し,相続財産に属する不動産や金銭などの返還を請求することを遺留分減殺請求といいます。

遺留分減殺請求は,減殺をしようとする遺留分権利者が受遺者または受贈者に対して意思表示することによって行われます。意思表示がなされたことおよびなされた時を明確な証拠として残しておくために,遺留分減殺請求の意思表示は,内容証明郵便をもって行うのが適切です。

遺留分減殺請求の結果,遺留分を侵害した贈与や遺贈は,遺留分を侵害している部分についてその効力を失い,移転した財産は,当然に相続人に還り,取得された利益は不当利得となって償還義務等が生じます。減殺によって遺留分権利者に帰属した権利は遺産分割の対象となる相続財産ではない,とするのが判例です。

遺留分減殺による物件返還請求について当事者間で話合いがつかない場合や話合いができない場合には,遺留分権利者は家庭裁判所の調停手続(遺産分割調停ではありません)を利用することができます。なお,家庭裁判所に調停を申し立てただけでは,相手方に対する意思表示とはなりませんので,必ず調停の申立てとは別に内容証明郵便等により意思表示を行う必要があります。

この遺留分の減殺請求の意思表示は,相続の開始および現在すべき贈与または遺贈があることを知った日から1年間行使しないときは時効によって消滅します(民法1042条前段)。1年間はすぐに経ってしまうので注意が必要です。

なお,遺留分を有する相続人は,相続の開始前(被相続人の生存中)に,家庭裁判所の許可を得て,あらかじめ遺留分を放棄することができます。遺留分を有する相続人がすでに被相続人から遺留分相当額の財産の贈与を受けている場合などに利用されます。

遺留分の問題は,減殺請求の意思表示に始まり,法律論も複雑です。遺留分権利者の皆様が遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った場合には,直ちに,弁護士にご相談されることをお勧めします。また,事案によっては,相続の開始前(被相続人の生存中)に,弁護士にご相談されてもよいと思います。法律事務所では,遺留分に関するご相談,遺留分減殺請求による物件返還請求調停等の代理人をお引き受けいたします。

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