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がんばれ!社内取締役!

社外取締役,待望論が唱道されています。いわゆるモニタリングモデル(取締役の役割を経営者の監督とする考え方)の本の丸の扱いです。改正会社法案において,所定の要件を備える会社(上場会社等)については,社外取締役を置いていない場合,当該事業年度の株主総会において,社外取締役を置くことが相当でない理由説明しなければならないとされ,多くの上場会社等は,昨今の社会情勢の中,その説明は容易でないと考え,社外取締役の設置に進んでいます。
 しかし,前提となっている,モニタリングモデルの当否は別としても,社外取締役が果たして夢のようなものなのかどうか,よくよく検討する必要があると思います。
 第1に,「社外」の取締役である以上,社内の取締役と比較して,情報の非対称性があるということです。社外取締役の情報収集手段に問題があることを指摘した論文もあります(弥永真生「社外取締役の情報収集」商事法務No2028 4頁)。適切な情報なくして「監督」はありえません。もし,社外取締役を機能させようとするならば,同論文にあるように,その情報収手段を確保しなければなりません。容易なことではありません。
 第2に,社外取締役が重要な取締役のポストを占めることによって,本来機能すべき取締役のポストが一つ減り,結果として,社内の有為な人材が取締役になることができないことです。昨今,取締役会を機能させるためにも,コンパクトな取締役会を指向する状況にあります。ただでさえ少ないポストを「社外」に明渡して,本当に会社,ひいては株主の利益にかなうのか,検討する必要があると思います。
 モニタリングモデルを前提として,社内取締役には人間関係の情誼により,仲間同士言いたいことも言えない,というのは単純明快な説明です。しかし,「社外」をもって「社内」に置き換えることはそれほど単純ではないと思います。

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