自筆証書遺言の方式の不備が問われて無効とされる危険性(二つの裁判例から) |トピックス|しょうぶ法律事務所 自筆証書遺言の方式の不備が問われて無効とされる危険性(二つの裁判例から) |トピックス|しょうぶ法律事務所

topics

自筆証書遺言の方式の不備が問われて無効とされる危険性(二つの裁判例から)

自筆証書遺言とは,遺言者がその全文,日付及び氏名を自書し,これに印を押した遺言の方式です。遺言は,厳格に方式が定められており,その方式に違反があれば,遺言は無効になっています。人の大切な最後の意思が無になってしまうわけで,取り返しがつきません。
 最新の判例雑誌の「判例時報」(平成26年5月11号No.2215)において, 二つの下級審判例がありました。
 一つ目は,自筆証書遺言が遺言者の自筆とは認めるに足りず,無効とされた判決です(高松高判25・7・16)。この判決は,遺言書に書かれた遺言者のものとされる筆跡と遺言者の他の文書(農地賃貸借契約書,通知書,年賀状等)の筆跡を対照し,遺言書の筆跡は遺言者が自署したというには大きな疑問が残るとして,自筆証書遺言は遺言としての要件を満たさないから無効としました。
 二つ目は,自筆証書遺言が押印を書き,無効とされた判決です(東京地判25・10・24)。文書の末尾には氏名の署名とカタカナを崩したサイン様ものを○で囲ったものがありましたが,これを押印とは認めず,自筆証書遺言は遺言としての要件を満たさないから無効としました。
 自筆証書遺言は,簡単に費用もかけずに作成することができます。しかし,後に方式の不備を問われて,無効になる恐れがあります。遺言を残したい方は,公正証書遺言を作成すべきだと思います。

一覧に戻る

[ CONTACT ]

ご質問やご相談については,まずはお問い合わせフォームから,お気軽にお問い合わせください。