会社法改正④ 公開会社においては,募集事項及び割当先の決定を取締役会が行うことができますが,それによって当該引受人が株主となった場合に同人が有する議決権の数が総株主の議決権の2分の1を超えるとき,つまり支配株主の異動を伴うときは,合併等に準じる会社の基礎の変更であり,公開会社の経営のあり方に重大な影響を及ぼすことから,これを取締役会のみで決定できることはおかしいとして,既存株主の利益を保護するために所定の手続を要求しました。 |トピックス|しょうぶ法律事務所 会社法改正④ 公開会社においては,募集事項及び割当先の決定を取締役会が行うことができますが,それによって当該引受人が株主となった場合に同人が有する議決権の数が総株主の議決権の2分の1を超えるとき,つまり支配株主の異動を伴うときは,合併等に準じる会社の基礎の変更であり,公開会社の経営のあり方に重大な影響を及ぼすことから,これを取締役会のみで決定できることはおかしいとして,既存株主の利益を保護するために所定の手続を要求しました。 |トピックス|しょうぶ法律事務所

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会社法改正④ 公開会社においては,募集事項及び割当先の決定を取締役会が行うことができますが,それによって当該引受人が株主となった場合に同人が有する議決権の数が総株主の議決権の2分の1を超えるとき,つまり支配株主の異動を伴うときは,合併等に準じる会社の基礎の変更であり,公開会社の経営のあり方に重大な影響を及ぼすことから,これを取締役会のみで決定できることはおかしいとして,既存株主の利益を保護するために所定の手続を要求しました。

 すなわち,支配株主の異動を伴うときは,会社は,払込期日の1週間前までに,株主に対し,当該引受人(「特定引受人」といいます。)の名称・住所・特定引受人が有することとなる議決権の数その他法令で定める事項を通知または公告しなければならない。そして,総株主の議決権の10分の1(定款による引下げは可能)以上の議決権を有する株主が通知・公告の日から2週間以内に特定引受人による募集株式の引受けに反対する旨を会社に対し通知したときは,会社は払込期日に前日までに,株主総会の決議(普通決議)によって,特定引受人に対する募集株式の割当てと同人との会社法205条1項の契約の承認を受けなければならない,とされました。
 総株主の議決権の10分の1以上の議決権を有する株主がこれに反対する旨を会社に対し通知したときだけ,株主総会の決議を要するとしたのは,支配株主の異動を伴うときはすべて株主総会の決議が必要であるとすると,資金調達の機動性を害する恐れがあり,かえって株主の共通の利益を害する恐れがあると考えたからです。もっとも,会社の事業の継続のために緊急の必要があるときは,株主の反対の通知があった場合でも,株主総会の決議は要しないとされています。バランスをとった巧みな立法だと思います。

 株式による資金調達の方法の歴史は,資金調達の機動性と既存株主の保護の調和で成り立ってきました。今回の改正は,公開会社においても,支配株主の異動を伴う株式による資金調達は,資金調達の機動性を多少劣後させても,既存株主の保護を重視したということができます。

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