事前に書面で議決権行使をした株主が株主総会に入場・投票した事案(関西スーパー事件)について②~事案の概要(2) |トピックス|しょうぶ法律事務所 事前に書面で議決権行使をした株主が株主総会に入場・投票した事案(関西スーパー事件)について②~事案の概要(2) |トピックス|しょうぶ法律事務所

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事前に書面で議決権行使をした株主が株主総会に入場・投票した事案(関西スーパー事件)について②
~事案の概要(2)

前回の続き)

A社は、事前に議決権行使書面で賛成の意思表示をしていたのですが、大事な話だから、と、代表権のある副社長Bに職務代行通知書を持たせて、株主総会に行かせました。

この職務代行通知書には、全議案につき会社原案に賛成の議決権を行使するに当たり、Bを職務代行者として派遣する、との記載がありました。

株主総会に出席したBは、投票に際し、係員に対して、自分は既に議決権行使書を送っているがどうしたらよいか、などと質問しました。

一般に、議決権行使書面で議決権を行使していても、株主総会に出席すると、書面での議決権行使は撤回されたものと扱われます。

しかし、このことは当時広くは知られておらず(Bも知りませんでした。)、関西スーパーからの説明もなく、係員からも明確な回答はありませんでした。

そこでBは、事前の議決権行使書面通り賛成とするつもりだったのですが、「後で番号とかで突き合わせて分かるから、いいか」などと言って、投票用紙を未記入のまま投票箱に入れてしまったのです。

未記入の投票用紙を投票することは、この株主総会では棄権として扱われ、事実上反対と同じ効果になる行為で、関西スーパーもそのことを説明していました。

Bは投票後心配になり、受付に行き、事前の意思表示(議決権行使書面での賛成)の通りに扱われているか確認してほしい、と申し出ました。

この申出には株主総会検査役の弁護士も対応し、Bから詳しい事情を聴き取りました。

関西スーパーは、Bから聴き取った事情を勘案し、A社は賛成したものとして取り扱い、議案は可決された、としました。もしA社が反対に回っていれば、議案は否決されていたところでした。

これに対し、議案に反対していた株主・オーケー株式会社(オーケー)が、この総会決議には法令違反又は著しい不公正があり、取り消されるべきである、などとして、株式交換の差止めの仮処分を申し立てたのです。

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