2023年の株主総会を振り返って③~バーチャル株主総会~2023年版株主総会白書アンケート速報版集計結果の概要(商事法務2341号36頁)を参考に |トピックス|しょうぶ法律事務所 2023年の株主総会を振り返って③~バーチャル株主総会~2023年版株主総会白書アンケート速報版集計結果の概要(商事法務2341号36頁)を参考に |トピックス|しょうぶ法律事務所

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2023年の株主総会を振り返って③~バーチャル株主総会
~2023年版株主総会白書アンケート速報版集計結果の概要(商事法務2341号36頁)を参考に


バーチャル株主総会についてのアンケート結果も見てみましょう。

バーチャル株主総会の実施件数は、
●バーチャルオンリー型で実施した企業は13社(回答会社全体の0.7%)(前年は8社)
●ハイブリッド出席型バーチャル総会は22社(同1.1%)(前年は19社)
ハイブリッド参加型バーチャル総会は393社(同19.9%)(前年は379社)
⇒合計428社(前年は406社。前年比約5%増)

となっています。

バーチャル株主総会の実施企業数は一定程度増加していること、実施企業の多くはハイブリッド参加型を選択していることが分かります。

ハイブリッド参加型は、リアルで株主総会を開催し、その審議などをインターネット上で確認・傍聴できるようにするものです。
ハイブリッド参加型の場合、株主は、インターネット上から株主総会に「出席」すること、議決権を行使することはできません。

他方で、インターネットからも株主総会に正式に「出席」できるバーチャルオンリー型、ハイブリッド出席型という形態もありますが、これらを実施した企業は、合計しても35社(回答会社全体の1.8%)と少数にとどまります。

参考
バーチャル株主総会(ハイブリッド型株主総会(参加型・出席型)・バーチャルオンリー株主総会)が広まってきています。 |トピックス|しょうぶ法律事務所 (shobu-law.com)


バーチャル株主総会は、株主の参加促進という面でもメリットがある制度ですが、他にも、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、実際に人が集まるリアルの株主総会への出席者を減らす観点から活用された面もあります。

ところが、20235月から、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、リアルの株主総会実施・参加のハードルが低くなりました。
実際、株主総会における新型コロナ対策を脱していく動きも見受けられ、同アンケートによると、非接触型体温計やアクリル板等の設置を止めた企業が多く出た模様です。

そのため、バーチャル株主総会は、今後減少していく、又は伸び悩む、といった動きが出てくる可能性もあります。

一方で、同アンケートを見ると、バーチャル株主総会導入の課題として、「システム等の技術的な環境整備」「通信障害等による決議取消リスク」が上位に挙げられていますので、バーチャル株主総会のシステムでより良いものが開発されれば、バーチャル株主総会を開催する企業が大きく増加し始める可能性もあります。

既にバーチャル株主総会を実施している企業から魅力的な活用事例が生まれ、それを見た他の企業にも改めてバーチャル株主総会が広がっていく、という可能性もあります。


弁護士としても、実施企業は多くないとはいえ、バーチャル株主総会の動向にも関心を持っておくことを意識しています。

 

参考文献:2023年版株主総会白書アンケート速報版集計結果の概要(商事法務234136頁)

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