中小企業のM&Aでは、仲介業者とのトラブルに注意が必要です② |トピックス|しょうぶ法律事務所 中小企業のM&Aでは、仲介業者とのトラブルに注意が必要です② |トピックス|しょうぶ法律事務所

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中小企業のM&Aでは、仲介業者とのトラブルに注意が必要です②


1 何に対して報酬を支払うかを確認しておく

仲介業者との契約(仲介契約)では、どのような条件が満たされたときに報酬が支払われるかが決められています。

多くの場合、仲介業者が提示する仲介契約書では、

①契約書の始めの方に置かれた定義規定で、仲介の目的となる取引契約を「本件取引」として定義する

報酬規程で、「本件取引」が成約ないし実行された場合に報酬を支払う義務が発生することが定められる


といった形で、どのような場合に報酬を支払わなければならないかが定められています。

①定義規定に関する問題点

上記①の「本件取引」についての定義規定では、通常の「MA」に入る取引(「株式譲渡」「事業譲渡」「合併」など)だけでなく、「その他資産等の譲渡」「資本業務提携」「その他業務提携」なども「本件取引」に含まれると規定されていることが少なくありません。

このような規定になっていると、商品や設備の譲渡(「その他資産等の譲渡」)や「業務提携」だけが行われ、肝心のMAについては進んでいない場合でも、報酬を請求されることになり得ます。

実際に、そうした請求を受けて、トラブルになる事例もあります。

・対応策

上のようなトラブルにならないようにするためには、仲介契約を締結する前に、定義規定についてよく確認しましょう。

そして、「業務提携」や「その他資産等の譲渡」といったMAと同視しがたい取引が「本件取引」に含まれ、それらが報酬を発生させる原因となる、との内容になっていないかどうかを確かめます。

そのような内容になっている場合は、「業務提携」「その他資産等の譲渡」など本来の目的であるMAと同視しがたい取引を「本件取引」から外すよう、定義規定を変更することを求めることが考えられます。

ほかに、M&Aに当たる行為以外に対して報酬を支払う場合に、M&Aの場合とは報酬額の基準を変え(例:最低報酬額の規定を適用しないなど)、報酬額については別途協議することとし、報酬額を低く抑えることができるようにする、といった交渉方針も考えられます。


弁護士業のように長年にわたって行われてきた業種については、報酬を支払う場面についても多くの方に共通認識があります。

しかし、MAの仲介業は比較的新しい業種ですので、どのような場合に報酬を支払わなければならないかについても、まだ広く共有された認識ができあがっていないのが実情です。

そのため、安易な思い込みをすることなく、目の前の契約条項をよく確認することが重要になってきます。

 

次回に続く)

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