2025.11.04
中小企業では株主管理が重要です~オーナー社長の相続を中心に~ ②
(前回の続き)
株主に関する事項を管理する際に重要になるのが、相続への対応です。
特に、大株主であるオーナー社長が亡くなった時の相続について適切な対応をしておかないと、
- 後継者となる予定だった人に経営を承継することができなくなる
- 遺産分割で株式を取得するために大きな額の代償金が必要になる
- 株式が分散し、後継者による経営のかじ取りが難しくなる
など、重大な問題が発生する場合があります。
少数株主の相続についても、会社できちんと把握しておかないと、誰が株主か分からない株式や、所在不明の株主が出てしまい、経営に支障を来すことがあります。
ここでは、特にオーナー社長の相続に関する対策のうち、主なものについてご紹介していきます。
◎遺言を作成する
中小企業のオーナーの相続対策では、遺言書を作成することが非常に大切です。
ところが、実際には、「自分のところは相続でもめるようなことはない」「株式は大した金額にならないから、もめることはない」と思って、遺言書を用意していない方も珍しくはありません。
しかし、実際に相続が始まってみると、相続人間で紛争になってしまったり、後継者となった相続人が、他の相続人から、株式を取得する対価として大きな金額の支払いを請求されたりすることがあります。
実のところ、こうしたケースは、決して稀有なものではありません。
企業のオーナー社長である場合は、弁護士にも相談して、ぜひ遺言書を用意しておくようにしましょう。
遺言書を作成する際に注意すべき点としては、次のようなものがあります。
① 「公正証書遺言」とする
遺言書を作成する際は、有効性を争われることが少ない「公正証書遺言」とすることをおすすめします。
公正証書遺言としない場合は、改ざんを疑われないよう、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用する、弁護士に遺言書を預ける、といった対策をとるようにしましょう。
参考:自筆証書遺言書保管制度
*当事務所では、自筆証書遺言書の預かりは行っておりません。
(次回へ続く)