2025.11.14
ニュース
中小企業では株主管理が重要です~オーナー社長の相続を中心に~ ③
(前回の続き)
② 遺留分への配慮を忘れずに
遺言書を作成する場合には、相続できる財産が少なくなる相続人への配慮が欠かせません。
これについては、たとえば、次のような対策をしておくことが考えられます。
- 生前に後継者以外の相続人ともよく話をしておく
- 遺言書の付言事項を活用してメッセージを送り、後継者以外の相続人の感情を和らげるなど
特に、相続人の中に遺留分を侵害される者が生じないかについては、十分に気をつけましょう。
遺言の内容が一部の相続人の遺留分を侵害していると思われるものになっていると、遺留分侵害額請求による紛争が発生するきっかけになってしまいます。
さらに、実際に遺留分の侵害が認められると、後継者となった相続人が、遺留分侵害額として多額の金銭を支払わなければならなくなってしまう可能性があります。
株式を後継者に生前贈与した場合でも、これが特別受益に当たると主張されて持ち戻しが必要となった結果、各相続人の遺留分が想定以上に大きくなり、遺留分侵害額請求が行われることになる可能性もあります。
遺留分侵害が避けられそうにない場合や、株式の価格の変動によっては遺留分侵害が発生してしまう可能性がある場合などには、
- 後継者以外にも財産を生前贈与する代わりに、遺留分を放棄してもらう
- 「遺留分に関する民法の特例」(経営承継円滑化法)を活用し、生前贈与した自社株式の価額を除外又は固定する
などの対策をとることも検討してみましょう。
これらの対策をとるには、家庭裁判所での手続きなどが必要になりますので、弁護士にも相談しながら進めていきましょう。
(次回に続く)