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中小企業では株主管理が重要です~オーナー社長の相続を中心に~⑥

前回の続き)
◎遺言書がない場合に起こる「株式の準共有」には注意が必要

 

遺言書がなかったり、遺言書が無効とされたりすると、遺産分割協議を経て遺産分割を行うことが必要になります。

 

遺産分割を行う場合、遺産分割終了までは、遺産は、相続人全員で共有することになります。

 

株式については、所有権とは異なる権利を共有する関係になるので、「準共有」となります。

被相続人(亡くなった人) 会社の株式1万株を保有

相続人は妻(法定相続分1/2)、長男、次男(法定相続分各1/4)の3人の場合

× 被相続人の死後、自動的に、妻に5000株、長男と次男に各2500株と配分される

× 生前に家族会議などで話し合っていた比率(例:長男が全株式を取得)で自動的に配分される

○ 遺産分割協議で決まるまでは、妻と長男、次男で1万株全体を準共有することとなる(共有持分は、妻1/2,長男、次男各1/4)

どの相続人も、単独では議決権行使などができない

このことは、意外と見落とされがちですので、注意が必要です。

 

 経営者の方の中には、次のように考えている方がおられるかもしれません。

「弁護士は遺言書を作るようにというけれども、必要ない。もうすでに家族会議で、『長男が全株式を取得する』ということが決まっているから、何の問題もないだろう」

「すでに後継者である長男に株式の40%を譲っている。自分が死んだ後は、相続人は妻と長男、次男の3人なので、残りの60%のうち1/4(15%)を長男が自動的に引き継ぐから、直ちに長男が過半数の議決権を握ることとなり、経営に問題は生じない」

 

しかし、株式は、現株主の死後すぐに後継者に引き継がれるわけではなく、遺産分割が済むまでの間、上でご説明したような準共有状態となります。

 その状態を利用して、後継者選びに納得していなかった相続人らが手を結び、議決権行使を妨害したり、後継者の方針と違う議決権行使をしたりすることも起こり得ます。

 

 

株式が準共有状態となっているとどのようなことが起こるかについては、次回取り上げていきます。

 

次回に続く)

 

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