中小企業のM&Aでは、仲介業者とのトラブルに注意が必要です③ |トピックス|しょうぶ法律事務所 中小企業のM&Aでは、仲介業者とのトラブルに注意が必要です③ |トピックス|しょうぶ法律事務所

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中小企業のM&Aでは、仲介業者とのトラブルに注意が必要です③


前回の続き)

②報酬規程に関する問題点

報酬に関する規定(報酬規程)を確認する際は、(ア)報酬の算定方法と(イ)報酬の発生条件について確認するのがポイントです。

(ア)報酬の算定方法


M&Aの仲介業者への報酬は、レーマン方式を基本とし、最低報酬額を設定する、という方法で算定されることが多いです。

レーマン方式とは、一定の「基準価額」に所定の料率(乗じる割合)を乗じることで報酬を計算する方法です。

料率は、基準価額をいくつかの金額の階層に区切り、それぞれの階層ごとに定められています。

全ての階層について報酬額を算定し、それらを合算した額が、最終的な報酬額となります。


○レーマン方式の例(最低報酬額の設定あり)

基準価額に以下の割合を乗じて報酬を算定する(消費税別)。なお、報酬の最低金額は1000万円とする(消費税別)。

基準となる価額 乗じる割合
5億円以下の部分 5%
5億円超10億円以下の部分 4%
10億円超50億円以下の部分 3%
50億円超100億円以下の部分 2%
100億円超の部分 1%


(計算例)基準価額が7億円の場合(消費税別)

5億円×5%+2億円×4%=2500万円+800万円=3200万円


レーマン方式での報酬の算定方法について確認する際は、「乗じる割合」などに気が向きがちですが、実は、「基準価額」の内容をきちんと確認することもとても重要です。

レーマン方式で「基準価額」となるのは、一般的に次のいずれかです。

  • ☑ 取引価額
  • ☑ 純資産額
  • ☑ 移動総資産額(取引価額+総負債額)

これらのうち、移動総資産額が基準価額となっている場合は、他の基準の場合よりも報酬額が高額になりますので、注意が必要です。

・対応策

報酬額や「基準価額」をどのように決めるかについては、契約ごとに異なりますので、契約書をよく確かめることが大切です。

そして、

「純資産額の基準を簿価とするとされているが、時価の方が低い場合でも簿価となるのか」
「純資産額を時価で評価するとされているが、時価はどのように決めるのか」
「取引価額には、役員退職慰労金も含まれるのか」

など疑問点があれば、逐一業者に確認しましょう。

契約内容や仲介業者の説明に不満があれば、仲介業者と交渉する、他の仲介業者を探す、弁護士にアドバイスを求める、といった対策をとっていきましょう。

なお、M&A支援機関登録制度のホームページで、同制度に登録された仲介業者の報酬額についての情報が公開されていますので、仲介業者を選ぶ際には参考にしてみてください。


参考:M&A支援機関登録制度

次回に続く)

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