2025.10.10
中小企業のM&Aでは、仲介業者とのトラブルに注意が必要です⑥
(前回の続き)
3 直接交渉や仲介契約期間終了後の取引についての制限に注意
M&Aの仲介契約では、依頼者が、取引の候補者(又は代理人)に直接接触・交渉することを制限している場合があります(直接交渉の制限)。
仲介業者は、当事者が直接交渉・合意して仲介手数料の支払いを免れることを防ぐため、直接交渉を制限しているのです。
ほかにも、仲介契約の契約期間が終了するまで待って当事者同士でM&Aを行い、仲介業者への報酬の支払いを免れるという行為を防ぐために、契約期間終了から一定の期間(テール期間)内に取引が実行された場合等には報酬を支払うとの条項(テール条項)を設けていることもあります。
・対処法
これらの条項については、どのような場合が契約違反になるのか、仲介業者に具体的な例を挙げて説明するよう求めましょう。
たとえば、
- 直接交渉が禁止される範囲(対象者、交渉・接触の目的、禁止期間等)
- テール条項でのテール期間の長さ、取引が禁止される相手方
などについて確認することが考えられます。
確認した結果、違反とされる範囲が広すぎるようであれば、条項の修正を求めるようにしましょう。
なお、「中小M&Aガイドライン(第3版)―第三者への円滑な事業引継ぎに向けて―」(中小企業庁)(pp.40, 41, 104, 105)では、次のように指摘しています。
○直接交渉の制限に関する条項について
- ☑ 直接交渉が禁じられる相手方候補先の範囲は、仲介業者が関与・接触し、紹介した候補先のみに限定すべきである。
- ☑ 交渉・接触の目的は、依頼者と候補先のM&Aに関する目的で行われるものに限定されるべきである。
- ☑ 条項の有効期間は、仲介契約が終了するまでに限定すべきである。
○テール条項について
- ☑ テール期間の長さは、最長でも2~3年以内を目安とすることが望ましい。
- ☑ テール条項の対象となるM&Aは、その仲介業者が関与・接触し、譲り渡し側に対して紹介した譲り受け側とのM&Aのみに限定すべきである。
ここまで、M&Aの仲介契約に関する主要な注意点についてご紹介しました。
M&Aの仲介契約を締結する際に注意すべきことについては、上記ガイドラインでも解説されていますので、一度目を通してみることをおすすめします。
M&Aは、後継者の不在に悩む中小企業にとって、育てた事業を外部の後継者に引き継いでいくための重要なものであり、弁護士としても、当事者がより満足できるM&Aを実行できるようサポートしていきたいと考えております。
参考:「中小M&Aガイドライン(第3版)―第三者への円滑な事業引継ぎに向けて―」(中小企業庁).pdf