2025.12.25
中小企業では株主管理が重要です~オーナー社長の相続を中心に~⑦
(前回の続き)
◎株式が準共有となっているとどうなる?
株式が準共有の状態となっていると、過半数の準共有持分を有していない限り、単独で議決権などの権利行使ができません。
具体的には、次のような制限がかかります。
☑議決権を行使する際に持分価格の過半数による決定が必要になる(民法264条、252条1項)
☑議決権を行使するには、持分価格の過半数による決定で権利行使者1名を指定し、会社に通知することが必要になる(会社法106条)
*会社が同意すれば、指定・通知は不要(同条ただし書)。
なお、会社の同意がある場合でも、議決権を行使するためには、持分価格の過半数による決定が必要(最判平成27年2月19日民集69-1-25)
☑株式を売却などして処分する場合には、全員の同意が必要になる(民法264条、251条1項本文)
そのため、オーナー社長の相続により株式の準共有状態が発生することで、「株主総会で有効な議決ができない」「後継者と予定されていた人が経営権を奪われる」など、経営が不安定化するおそれがあります。
具体的な例で見てみましょう。
例①
オーナー社長である亡Aは、生前、長男を後継者として、株式の45%を譲っていた。
しかし、残りの55%の株式は、Aの手元に残していた。
その後、遺言を残さずにAが死亡した。
すると、後継者を長男とすることに反対していたAの妻と次男が、両者合わせて、相続によって準共有となった55%の株式の持分価額の過半数を支配することになった。
そのため、準共有状態の株式の議決権は、妻と次男の決定により行使される状態になってしまった。
こうして、長男は株主総会で自分の意見を通すことができなくなり、代表取締役に選任されなくなって、経営権を失ってしまった。
例②
上の例で、妻と次男の反対により権利行使者の指定ができないと、株主総会を開こうとしても、定足数を満たすことができなくなるおそれがある。
このように、遺言がないと、遺産分割が済むまで株式を準共有することになり、様々な不都合が生じることになり得ます。
こうなってからでは、弁護士に相談しても、有効な対策がないと言われる可能性があります。
そのようなことにならないよう、中小企業のオーナーの方は、早いうちに遺言書を作成しておくようにしましょう。
(次回に続く)